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2014 年 1月 25 日 – パタンナーズライフ

タイトスカートの質問

こんにちは K です。

さて、では三つ揃えの続き…と言いたいところですが、本日の更新は先日生徒さんに聞かれた内容の検証という形で記事を書かせて頂きます。

その質問とは

「先日某ショップにて脇線からダーツをとったタイトスカートがあり、それを店員さんに”ウエスト周りにダーツが無いので着用しやすいですよ”とすすめられました。脇線にダーツってとっていいのですか?何がちがうのですか?」という質問でした。

↑形はこんな感じのものとのこと、少しローウエスト気味

 

では検証と解答をしていきます。

 

①脇線にダーツってとっていいものなのか?

A:いいです。ヒップにかけてのふくらみが表現できるのであればどこでもいいです。

あとは位置とダーツバランスの問題です。基本的な考えなどはウエストでダーツをとっているときと変わりません。ただ脇線が歪まないように気をつけないといけません。

 

②どう違うのか?

A:変更する手順や考え方は同じ、ただ脇線のダーツのバランスが前後異なります。

脇線に絵型のようにダーツを一つにまとめてとってみました。もちろん処理しきれない寸法でしたので、自然なふくらみになるようにヒップ廻りを少し削ったり、ウエスト寸のバランスを変更してダーツ分量を調節しました。これは立体で調節するのがいいです。

修正前

修正後

 

この操作はウエストダーツのときにもみられる操作です。ウエストからヒップにかけての差を少なくしようとしました。。

今回はウエスト寸を大きくしてしまうと身頃から離れてしまいウエスト周りがゆるくなるので、ヒップと同じくらい1.3c平行に削っております。

※ウエストは今回ローウエスト&ベルトなしなので全体的にフィットさせました。

 

 

では、ちょっと遊んでみます。

”脇線上にダーツがある”ケースと照らし合わせてみて、ウエストにダーツをとったものとの違いをみてみましょう。本ダーと、脇線上だが曲線にはかからない位置にダーツをとったものを見てみました。

2本ダーツ

やはり、二本のほうがよりフィットさせやすいですね、

二本ダーツのヒップ削り分量は一本ダーツの約半分ぐらいですみましたが、ウエストはやや多めに削る必要がありました。

 

ヒップライン下ダーツ

 

ヒップラインより下にダーツをとったもののウエスト寸法はほとんど原型寸法と変わりませんでしたが、

ダーツを長く大きくとったことにより、(キレイな丸みの帯びたシルエットにするため)ダーツを曲線にしたのでその分がヒップ寸法に少し追加されました。

前後差は変えるつもりは有りませんでしたが、1~2ミリ削ることになりました。

この検証から分かったことは

●脇の曲線上にダーツをとると、本来の前後差にさらに+して脇でとるダーツ分量が増える。

ということ。

曲線上にダーツがなければ、原型と同じく前後差に変更はほぼありません。

(ややこしいってことですね…)

 

 

↓それぞれのパターン形状

 

③着用しやすくなるのか?

A:可能性は有るが効果は少ないのではないか

パターン上の変更の考えなどは同じだが、ダーツを脇線にとることにより、脇線とウエストラインが交わる点が上に↑あがり、結果ウエストラインのバイヤスが強くなる、そうすると少し柔らかい仕上がりになるのでウエスト周りのしめつけが楽になる、またはウエスト周りにダーツの存在がなくなることで薄く仕上がるなどが考えられます。

(↑A点が原型(赤色表記)より上がっている図、傾斜が強くバイヤスになっている。)

そういった意味でウエスト周りのストレスが軽減されるかもしれないが、大きく変わるかというと、気持ち程度ではないかと思われます。

そういったことよりも、ここにダーツをとる行為は地の目やデザインに関わる意味合いの方が強いのではないかと思います。

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