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東京のアトリエ講師のこだわりや、物作りの様子をお知らせします。ファッションの情報やイベント告知も行います。
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2024 年 10月 – パタンナーズライフ
2024 年 10月 – パタンナーズライフ
少し変わった両玉縁ポケット
皆さん、こんにちは
10月期の生徒さんが入学されてから1カ月程が経過しましたが、パターンや縫製の授業はいかがでしょうか
「こんなにmm単位で修正するのかぁ」と思った生徒さんもいるのではないでしょうか(笑)
最初は手引きでの原型作図、シーチングの地直し、トワルのピン打ちなど物凄く細かくて一見地味な作業ですが課題の原型作りは綺麗な服を作る土台となりますので、ココをしっかり身に付けて頂くと今後服を作っていく際の目が養われます
製図する際やピンを打つ手つき、考え方の基礎をしっかり固めて様々な服作りをしていきましょう!
それでは最近見かけたちょっぴり変わった両玉縁ポケットの仕様の紹介を致します!
ハイブランドのパンツで向布を袋布で挟んで裁ち端を始末している仕様がありまました
よく見かける向う布の下端処理の仕様は
①二つ折りしてコバSTで叩きつけ
②中縫いして縫い返し
③裁ち端をロックしてコバSTで叩きつけ
↓ポケットの内側を引っ張り出した写真です
向う布を袋布で挟んで縫うので内側の綺麗に見えるのですが、実際に縫製してみて他にも何かメリットがあるのか確認してみたいと思います(^^)/
↓他にもポケット口に入れる切り込みの解れ防止の為に貼る部分芯の角が丸くカットされていました
部分芯の角を丸くカットする事で芯の剥離を防止する役割りがあるので、恐らくここのブランドもその意図があってこの様な貼り方をしているのかなと推測しています
やはり高価格帯の服は細部まで拘りが詰まっていますね(◎_◎;)
まずはパターンから見ていきましょう!
袋布は向う布を5㎜幅で挟み込み
土台布の裏側の部分芯は
参考にした仕様と同様に角を丸くカットしています
それでは縫製手順を見ていきましょう!
まずはパターンの裁断後、土台布の裏側に部分芯を貼ります
向う布を5mm幅で袋布を挟んだ後、両玉縁ポケット付け位置に付けた印同士を合わせて
土台布裏側と袋布表側を合わせて仮止めします
口布下端の縫代を1cmで折り
袋布とポケット付け位置の印を合わせて中表で縫います
ポケット口12.5cm、5㎜幅玉縁×2の1cm幅で設定したので
2本のステッチ間が1cm、長さが12.5cmになっているかの確認はお忘れなく(^^)/
紙ヤスリ、PPテープなどを使うとステッチが真っすぐ縫えるのでオススメです
口布を2本のステッチの真ん中の位置で切った後、縫代を割り土台布にYの字で切り込みを入れます
割りアイロンした縫代を包んで口布を作る前に、写真の様に裁ち端を1mmカットする事で設定した口布幅を作る事が出来ます
カットせずに包むと生地の厚み分で口布幅が少し太く仕上がってしまいます
口布の形を整えながら裏側に返した状態です
土台布をYの字に切り込んだ時に出来た矢羽根を口布と縫い、
口布下側縫代を縫い止めます
↓途中経過がこの様になっています
口布下端をコバSTで袋布と縫います
土台布を包む様に袋布両端を5㎜幅で縫います
袋布が土台布の裏側になる様に引き出してから袋布の周囲を5mmSTで縫い、
ポケット口に手を入れた時に袋布が開かない様に、土台布は避けて下の写真の3辺を縫います
↓完成です
向こう布を袋布でタックの様に挟んで縫う事で中から見た目が綺麗に仕上がっています
ココからはあくまでも推測ですが実際に縫ってみて向う布裁ち端を袋布で挟んで縫う事のメリットが見た目が綺麗以外に何かあるのか考えてみました(^^)/
↓左:向う布裁ち端を袋布で挟む
右:向う布縫代を1cmで折りコバSTで袋布に叩きつけ
ウールとスレキで縫ってみると右の写真にはパッカリングが起こっている事が分かります
折りコバSTで向う布下端を始末しているので、厚いウール2枚と薄いスレキ1枚の厚みの違いがある生地を重ねて縫う事でスレキ側が縫い縮んでしまっています
それに対して、袋布で向う布を挟んで縫っている方はパッカリングが起こっていません
他にも何かメリットはあるのかもしれませんが気が付いたのは以上の点です
やっぱり実際に縫ってみる事で色々な気付きがありますね
ブログを読んで下さった皆様も自分が持っている洋服で「なんでこんな縫い方なんだろ?」と思った物があったら是非実際に縫ってみて下さい
きっと沢山の発見があるかと思います!
↓今回触れたパッカリングが発生する原因やその他の縫製不良の原因・改善策をまとめた動画がありますので是非ご覧になってみて下さい(^^♪
スウェット
皆さんこんにちは
すっかり寒くなりましたね!
10月期がスタートし、生徒さんは原型作りに苦労されているようですが、原理や立体の構造について説明するときちんと理解してくれて、鋭い質問をされる方もいらっしゃるので、このペースで集中して課題に取り組んでもらえると嬉しいです。
引き続き11月、12月入学の生徒さんも募集中ですので、ご興味のある方はお気軽に見学にお越しください!
↑パターン検定3級1型目の解説動画になります。
少しひねった問題も出題されるので、受検されない方も参考になると思います
是非ご覧ください!
さて、すっかり秋ということで、スウェットを作っているのですが下調べとして生地や縫い方については「パタンナーのたまご」で紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください
仮り縫いしてみて気づいて点としては
・衿ぐりが狭すぎる
・リブの倍率が少ないせいで首に沿わず浮いている
・身頃に対して袖幅が狭い
というところが気になりました(・・;)
リブの倍率は生地の相性があるので、縫ってみないとわかりませんが、衿ぐりが狭いのは仮縫いの前に気付けたなと思い、反省です(-_-;)
また、腕を下した時にSP辺りで尖ってしまったため、袖山を低くし、肩線との角度を浅くしていこうと思います
それに応じて、AHのラインも浅く引き直し、削ったAH寸法を取るために鎌底も少し下げていきます
修正した写真がこちらです
衿ぐりの広さ、身幅、袖幅共に、最初に比べるとバランスが良くなった気がします
また、いかり肩の自分にとっては
・衿ぐりを広げる
・肩先の尖りを抑える
などの修正で肩がごつく見えるのを軽減することが出来ました
また、デザインを大幅に変えたくなかったので今回はしませんでしたが、肩をもう少しドロップさせたり、ラグランにするなどの方法でもいかり肩が視覚的に目立たなく見せることができるかと思います!
ここで一つ気になる箇所を見つけました(・・;)
衿ぐりの倍率を変えたことで前側の浮きは抑えられたのですが、SNP辺りでまだ浮いていました(-_-;)
手持ちの既製品を確認したところ、前後で倍率を変えているものが多く、カーブが強い箇所では同じ倍率ではリブが立ちやすいため、縫う際は倍率を考えて試し縫いした上で縫製するのがおすすめです!
ちなみに衿ぐりは簡単にオーバーロックのみにしていますが、やはり衿ぐりの伸びが気になるので、今後作る際は後ろにテープを叩きつけて補強したり、場合によっては一周ステッチで止めようかなと思います
ステッチを入れることで伸び止めにもなりますし、リブが浮くの押さえることもできますが、糸が生地の伸びに耐え切れずにちぎれてしまうこともあるので、試し縫いして問題ないか確認してから縫いましょう!
カットソーはやはり伸ばし付けを綺麗に縫うのが難しく、何度かロックミシンの針を折ってしまいました。この辺は練習が必要ですね( ;∀;)
また、今後『パタンナーのたまご』でも紹介する予定ですが、衿ぐりのリブは生地の伸びやすさに応じて倍率も変えていく必要があるので、試し縫いをいかに丁寧に行うかが綺麗に縫うためのポイントです!
市場で売られるカットソーの多くは専用のミシンで縫われているため、手持ちのミシンでは縫えないと思う方が多いのですが、普通のミシンでも縫えるアイテムも多いですし、家庭用ミシンだけで(ジグザグミシンなど)縫えるものもあるので、ぜひ秋冬物を作ってみてもらえたらと思います!
ではまた!